Tue, June 19, 2018

【2月15日のアナン前国連事務総長の記者会見の概要】


【2月15日のアナン前国連事務総長の記者会見の概要】

15日午後、アナン前国連事務総長は、総選挙後の政治的危機解決に向けての交渉の進渉についての記者会見を行い、政治問題について進展があり、完全合意の到達点も近いと発言しました。この中で(1)未解決の問題は、新たな政府の統治の形態であり、その他の問題については合意を得たこと(2)未解決の問題についても歩み寄りが得られるよう、現在各党内部で協議を行っており、19日の交渉再開後速やかに合意を目指すこと、(3)アナン氏は、事態が不可逆的となるまで(新たな政府設置の見通しがつくまで)ケニアに留まる意向であること、(4)アナン氏が不在の際に代行を務める候補者としてアデニジ元ナイジェリア外務大臣を推薦しており、PNU側の反応待ち(その後PNUは了承)であること等を明らかにしました。合意内容(下記1.)及び記者会見概要(下記2.)は、次の通りです。

1.14日ODM及びPNUの交渉チームメンバーがアナン氏仲介の下で署名を行った合意文書

(アジェンダ3:政治的危機の解決の内容)

(1)前文
(イ)本プロセス(National Dialogue and Reconciliation)は、ケニアの大統領選挙の結果をめぐる対立と引き続いて発生した暴力による政治的危機を、持続的な形で解決することを目指すものである。また、本プロセスは、1月24日及び1月29日のキバキ大統領とオディンガ党首の直接会談における合意を踏まえたものである。本プロセスの目的は法の支配と人権の尊重を通じ、持続的な平和の安定と正義を実現することである。

(ロ)現下の危機は、国の諸機関の権限や機能にかかわるところが大きいので、その解決のためには、現在の憲法、国内法、組織の枠組みを改革する必要があるとの認識を踏まえ、両当事者は以下の諸点に合意した。

(2)対立が生じた大統領選挙の結果につき、以下の選択肢を検討した
(イ)大統領選挙における票の数え直し
ケニア国民が納得できる結果を導くような票の数え直しを実施するためには、昨年12月27日に投じられた1100万表の全てを全国的に数えなおす必要がある。そのためには、すべての投票所において、投票用紙及び選挙関連機材が準備され、訓練された選挙監視オブザーバーと政党代表者の監視の下で再計算を行わなければならない。また、数えなおしのためには、広くケニア国民の信頼を得た特命の独立機関が、全体のプロセスを監視しなければならない。ケニア国民が納得し、国際的スタンダードに合致する票の数え直しを行うためには、準備期間に最高3ヶ月を必要とする。よって、(決着を得るのに必要な)数ヶ月の時間により、現下の緊張を高め、危機解決を遅延させることへの懸念から票の数え直しは、国民統合に資するものでないと判断し、他の選択肢を検討することに合意した。

(ロ)票の再集計
ケニア国民が納得できる結果を導くような票の再集計を行うためにも、27.500投票所から集計票を改めて集めて、精査しなくてはならない。そのためには、全ての記入された集計票を投票所に戻した上で、訓練された選挙監視オブザーバーと政党代表者の監視の下に行われなければならず、また、広くケニア国民の信頼を得た特命の独立機関が、全体のロセスを監視しなければならない。再集計は集計プロセスにおける問題点や不正を確認するうえで有益ではあるが、問題点や不正が新たに発覚した投票所や選曲では正確な結果を導き出すことは出来ない。したがって、他の選択肢を検討することとした。

(ハ)大統領選挙のやり直し
大統領選挙のやり直しの必要性について合意を得ることは出来なかった。他方、ケニア国民の民主プロセスへの信頼を守るため、次回選挙は選挙改革が完了した後に実施されねばならない。選挙改革にはケニア選挙運営委員会(ECK)の改革のみならず、独立リビュー委員会(下記(ヘ)参照)の作業の完了、選挙人リストの改訂、選挙結果不服申し立てメカニズムの改善、国内逃避民への参政権の確保が含まれる。こうした改革に要する時間は、ケニア国民の納得し、国際的スタンダードに合致するには、最低でも1年は必要である。しかしながら、ケニア国民は、危機の解決にこれほど長く待つことは出来ず、したがって、我々は他の選択肢を追求することに合意した。

(ニ)司法プロセス
既に選挙結果の不服申し立てに関する国内司法プロセスを実施するにしても、その申し立て申請期限は経過している。よって、他の選択肢を検討することに合意した。

(ホ)裁判所による選挙結果の検証(Forensic Audit)
裁判所により選挙結果の検証は、2007年総選挙の問題点を明らかにする上では有益かもしれない。しかし、法的検証は、暴力や緊張を減少させることには繋がらず、さらにその法的根拠も不明確である。したがって、裁判所による選挙結果の検証は、独立リビュー委員会(下記(ヘ)参照)により実施することとした。
(ヘ)独立リビュー委員会
2007年総大統領選挙を調査することをマンデートとし、調査結果を選挙プロセス改善のために活用することを目的として独立リビュー委員会の設置に合意した。同委員会は司法委員会ではなくケニア人及び国際社会からトップレベルの選挙専門家によって構成される。同委員会は、3~6ヶ月以内に報告書を提出し、報告書は提出後14日以内に公表される。同委員会は3月15日よりも前に設置されるものとする。

(3)危機を政治的に解決することに関し、以下の諸点に合意した。
(イ) ケニアに深刻な危機が生じているとの認識を踏まえ、国民和解と統合を促進するためには、「政治的な解決(political settlement)」が必要であるとの点に合意した。このような政治的解決は、危機の根本原因に関連した幅広い改革を実施・監督する上で必要となる。そのような改革と設置すべきメカニズムには、例えば以下のものがある。
(a)憲法改正
(b)包括的な選挙改革:選挙法改正、選挙運営委員会改革、不服申立て改革
(c)真相・正義・和解委員会
(d)暴力の加害者の謙虚と起訴
(e)人権の尊重
(f) 国会改革
(g)警察改革
(h)司法改革
(i) こうした改革について国会で優先的に取り組むことへのコミットメント
(j) その他必要な立法措置を伴う改革、組織的改革、政治改革もしくは経済改革。
(ロ) なお唯一未解決であるのは、新たな政府の統治の形態(governance structure)である。
統治の形態については、いくつかの選択肢が示され、現在両政党は各党党首・指導部との間で選択肢について検討しており、近く自分に対して結果を回答することとなる。
(ハ) 危機の根本原因の解決(長期的問題)にあたる「アジェンダ4」についても進展があった。右は「アジェンダ3」の政治的問題と密接に関連している。以下の改革の実施は、上記のアジェンダ3の改革と矛盾しない形で一刻も早く開始される必要がある。この開始プロセスは次回選挙を越えて継続される必要があるかもしれない。
(a)国民の一体感、国民統合の定着
(b)土地改革
(c)貧困と不平等:開発レベルの地域間の不平等、特に機会への平等なアクセスの促進
(d)失業(特に青年に多い)問題への取り組み
(e)公共サービスの改革
(f) 反汚職法・国民への説明メカニズムの強化
(g)公共財政・歳入管理システム及び組織の改革
(h)説明責任と透明性に関わる問題
このような解決策は、政治的な地位・ポストを分け合うことを目的としたものではなく、あくまでも現下の危機を生じさせた根本原因に取り組むためのものである。迅速且つ包括的に取り組むコミットメントを確認する。なお、根本原因解決のための改革作業スケジュールについては、今後検討する必要がある。

2.記者会見でのアナン氏の発言
(1)今後の見通し
各誌とも明日ヘッドラインを「We have a deal !」で飾りたいと考えていたことと思う。しかし、政治的問題は内容が複雑であり、双方からの譲歩を求めるのもあるので、遅れについて理解を得たい。だが、ここで強調したいのは、合意の達成に向けた大きなモメンタムがあるということである。ケニアの英知を結集して合意に到達できることを確信している。18日、自分はキバキ大統領及びオディンガODM党首との会談を申し入れており、その中で、合意まであと僅かであるので、各交渉
チームを後押しするよう申し入れるつもりである。目的地に着く直前のキャラバンは、最後に速度が落ちるものである。
(2)アナン氏のケニア滞在の見通し
ケニアに訪問して以来、このように長く滞在するとは思わなかった。ケニアの政治的危機の解決はアフリカ及び世界にとってきわめて重要な課題である。よって、自分は、新たな政府を設置するプロセスが不可逆的となるまでは、最後までケニアに留まって交渉プロセスを支援する所存である。アフリカ及び、世界のために迅速に問題解決を進めよう・

3.質疑応答
(1)(記者団よりパワーシェアリングについて合意できない場合、他に方法はあるのかとの問に対し)自分は大連立(グランド・コアリション)と称しているが、政治的危機が生じた際に、各勢力が協力して当地に参画することで問題を解決する方策として、世界の中で他にも実施されている。ドイツや日本でも連立政権を組んでいる。ケニアにおける現下の状況を見るに、まさに連立政権を設置し、各勢力が一致協力して各種問題を解決していくものと考える。さもなければ、国はさらに分裂することになる。
(2)(閣僚ポストの配分に関する交渉状況如何)
今は申し上げられない。各党の中で打開策を協議しており、19日の交渉でその協議結果につき聞くこととなる。
(3)(国際社会は合意について何らかのギャランティーを与えるのか)
そもそも本アフリカ著名人パネルはAUのマンデートを得ている。EU、米、その他の国際社会からも幅広い支持をえている。これまでケニアにはルイ・ミッシェルEUコミッショナー、オランダ開発大臣、マロック・ブラウン英国外務担当大臣など来訪し、本調整プロセスへの連帯を表明した。18日にはライス米国務長官が来訪する。昨夜ライス長官と電話ではんさいをしたが、ライス長官はキバキ大統領及びオディンガ党首とも会談を行い、交渉プロセスを協力に支援する計画である。また、国際社会には交渉を支えるメカニズムへの支援についても理解が得られている。なお、交渉の共同議長をつとめる人物としてアデニジ・元ナイジェリア外務大臣を推薦している。
(4)(どうして合意が遅れるのかという問いに対し)
特段不思議なことではない。交渉当事者にはさまざまな恐怖感もあり、それを克服していかねばならない。
(5)(改革のタイムテーブル如何)
改革のタイムテーブルについては今後策定する。その上で、実施を見守るモニタリング・メカニズムを設置する。中国文字で「危機」とは危(danger)と機(opportunity)の二文字からなる。したがって、危機の打開とは憂慮すべき深刻な事態からの脱却のみならず、構造的な問題を解決して将来を切り開くチャンスとして受け止めてもらいたい
(6)(アナン氏が立ち去る具体的なタイミング如何との問に対し)
政府が改革を自ら実施できるよう道筋が立てば、その後は、ケニアに出たり入ったりということとなろう。

Share This :

Twitter Delicious Facebook Digg Stumbleupon Favorites More

イベント情報をいち早くお知らせできます。


Leave a Reply

*