Wed, October 17, 2018

2009年2月号(1月5日発売号)平均寿命 


平均寿命                                           ソトコト3月号(2月5日発売号)

ケニアの平均寿命が53歳まで上がって喜ばしいという記事が、ケニアの新聞に出ていた。数年前には40歳代まで下がったが、
その後の国をあげてのエイズやマラリアへの対策が功を奏しているということだ。それにしても53歳とはあまりにも低い。
ケニアの新聞では、マラウィの43歳やザンビアの42歳と比較して、ケニアはアフリカ諸国の中で平均寿命が上昇している
トップ5に入ると賞賛していたが、それでも5歳未満の幼児死亡率は12.2%だという。
生まれてくる赤ん坊のおよそ8人に1人は5歳まで生きられないということになる。

平均寿命が53歳などと聞くと一般の日本の人々はびっくりして、「それではケニアにはお年寄りは全然いないのですか!」
と質問されたりするのだが、もちろんそんなことはあろうはずもなく、平均寿命のあまりの低さは幼児死亡率が高いことと、
主に貧困層がまともに医療を受けることもできず栄養状態も悪いためにあっけなく死んでしまうせいだといえる。
そしてケニア人は昔、もっと健康で長生きだったと、多くのケニア人が言っている。

私が知るケニアの村のお年寄りたちの中には、わずかではあるが100歳を超えてなお元気に畑仕事を続けている人もいるし、
驚くほど健康で足腰もしっかりとして、歯も抜け落ちていない90代の人たちもいる。
もちろん、彼らの時代には生まれた年や誕生日は記録されていなかったわけだが、
鉄道が通ったのは自分が割礼を受ける直前だったとか、
青年時代に第一次世界大戦(!)の出兵に駆り出されていったなどの話から推測するに、
どう考えても100歳をはるかに超えていると思われる長老に出会ったこともある。

私が親しくしているナイロビのキベラスラム在住のおばあちゃんに、98歳の女性がいるのだが、
彼女はキベラスラム在住歴70年で、まさに生き字引といえる人である。
彼女が言うには、ケニア人は昔、120歳まで生きるのが普通だったそうな。長生きするための重要ポイントは食べ物だという。
彼女自身も、昔ながらの伝統食しか決して口にしない。伝統食とは、もともとアフリカにある在来種の食物で、
雑穀や根菜類、野草の類を塩も油も使わずに調理する。
現代のケニア人が国民食だとカンチガイしているウガリ(白トウモロコシの粉を炊いて団子状にした主食)は、
植民地政策によってイギリス人が持ち込んだ外来種の食物である。
短期間で大量に収穫ができ、腹も膨れるため、労働者を効率的に働かせるためにもってこいの食物ということで植民地政府が
導入して、在来種の食物を根絶やしにしてしまった。白トウモロコシの栽培と過剰耕作は土地を疲弊させ、
砂漠化や土壌浸食をまねき、人々の暮らしを困窮させる一因となった。

ともかく、ケニアでは本当にあっけなく、次々と人が死んでいる。病気や飢えや貧困に蝕まれる現代のアフリカは、
100年前の人々にとってはまさに世も末の地獄絵のように見えるのではないか。
平均寿命という数字の奥に、我が子を失った親の悲しみや、どうしようもない貧困下で病気に喘ぐ人々の苦しみが見えてくる。
命の重さはこの世界においてちっとも平等ではないとつくづく思う。この世界をこれから私たちは一体どうしていこうというのか。
今こそ人類全体で真剣に向き合わなければならない時代だと思う。

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