Thu, January 18, 2018

2008年6月号(5月5日発売号) 戦火のピースメッセージ


戦火のピースメッセージ                  ソトコト6月号(5月5日発売号)

大統領選挙の結果をめぐって大暴動が発生した直後、キベラスラム内のあちこちにいっせいに白いペンキでピースメッセージを書き続ける謎の人物が登場した。その名は、ソロセブン。
「戦うな、武器を捨てろ、愛し合おう」などのメッセージの下に、必ず「by solo7」という署名がある。
まだ警察が催涙ガスを投げていて、群衆が石を投げ家々に火を放っているその最中にも、ソロセブンはペンキとブラシを手にスラム中を走り回り、ありとあらゆる隙間にメッセージを書き続けた。
破壊された家の壁、バリケードに使われていたコンテナ、燃やされた車の車体、水タンクや公衆トイレや電柱にも、ひたすら、同じ几帳面な書体での署名が書かれた。
いったい彼は誰なのだろう?とスラム中でウワサされはじめた。そのうち、ソロセブンのシンプルな白ペンキ一色のメッセージは、カラフルな壁画で彩られるようになった。大暴動の原因となった政治家たちをユーモラスに風刺した絵やメッセージが、破壊された家々の壁一面ににぎやかに描かれた。私はこれは面白いと思って現場をうろうろとしていたところに、ソロセブン本人とばったり出くわした。

彼は30歳のごくごく普通のスラム住民だった。暴動がはじまって人々が殺し合う姿を目の前で目撃して、いてもたてもいられなくなってペンキを手にメッセージを書きはじめたのだという。ソロセブンというのは彼の子どものときからのあだ名で、本名はソロモンといい、1977年7月7日生まれなことと、ソロモンというのもアルファベットで7文字なことから「solo7」というあだ名がついた。機動隊が発砲している最中にも最前線でメッセージを書いていたら、さすがにキチガイよばわりされたり、気が立った暴徒に石を投げられたりもしたらしい。それでも彼はやめなかった。

彼のメッセージの周りに絵を描きはじめたのは、彼の仲間のスラムの若者たちで、彼らとゲットーアートのワークショップを作っている。ワークショップといっても、廃材を集めてきて積み上げたような掘っ立て小屋だ。

この暴動の際、キベラスラムでは多くの家々が焼かれ、多数の避難民が出たが、命からがら逃げる途中でソロセブンの白いペンキのメッセージが逃げ道にずっと連なっていて、それにとても励まされたと言っていた女性がいた。

自分自身はたとえどんなに小さくても、伝え続けることが大事なんだ。そうソロセブンは言っていたが、彼のメッセージは確実にたくさんの人々の胸に届いていたと思う。実際に、私も間違いなく勇気付けられたひとりなのだ。

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