Tue, June 19, 2018

2008年7月号(6月5日発売号)Peace & Unity


Peace & Unity                      ソトコト7月号(6月5日発売号)

先日ナイロビで行われた、ドイツ大使館主催のピースイベントに行ってきた。ケニアのトップアーティスト25組が演奏し、音楽好きなドイツ大使自らもミュージシャンとして参加するという楽しい音楽フェスティバルだった。
集まった観客は1500人。ドイツ大使公邸の庭園に本格的なステージを建て、観客は芝生の上に寝転がり飲み食いしながら音楽を楽しんだ。ご近所仲間だというアメリカ大使も普段着でステージに立ち、ケニア人政治家たちもステージ上で踊りまくるというはじけぶりだった。ドイツ大使がスピーチで、このようなお祭りを主催する予算をドイツ政府からひねり出すためにはいろいろなトリックが必要とされるんだよ、とお茶目に語ったが、さすがである。このようなイベントにお金を使うことは、平和構築のために確実に効果的なんじゃないかと思った。

観客は、7割がたがケニア人、残りがその他の様々な国の人々、という雰囲気だったが、このような場に集まるケニア人は一般庶民層ではなく、ケニアではごくわずかなハイクラスの人々だということは間違いない。暴動で殺されたり家を焼かれたりした人々はそのほとんどが村やスラムで暮らす貧困層だったのだが、ケニアは総人口の半数以上はそのような貧困層が占めていると言われている。高級住宅街に住む金持ち層の家々は焼かれなかったし、食料もストックしておくことができるから飢えに苦しむことはなかった。

スラムの人々が飢えに苦しみ、催涙ガスにさらされ、家々を焼かれる様子を目撃してきた私としては、この国の抱える格差には複雑な心境が常につきまとうが、だからといってその分断された層のどちらも否定することはできない。どちらの世界も、まぎれもない現代ケニアの現実なのだ。

このイベントでは、ステージ上で人気アーティストがリードしながら、観客はWe Love Kenya ! と叫び、前後左右の人々と手を取り合い、全員起立で国家を歌った。(なんと、スワヒリ語ではなく英語で!)。 暴動後のケニアではすっかり流行語のようになっているPeace & Unity (平和と調和)を叫び、One people, one nation(ひとつの人間、ひとつの国家)を唱え、私たちが愛する美しいケニアを守ろう、と呼びかけたら、会場には歓声の渦が巻き起こった。ケニアはこの傷を癒すことができるし、殺戮は二度と起きることはないと信じさせてもらえる瞬間だった。

しかし、一歩外に出るとどうだろう。何万という国内避難民問題はいまだに解決されてはいないし、今年後半はさらに深刻な食糧危機がこの国を襲うと心配されている。

現在のケニアの姿は、まるでこの世界の縮図のようだ。この混沌とした世界の中で、私たちにできることは何なのか。大きな視点や小さな視点の両方を駆使してこの世界で起きている現実を見つめ、事実を知り、ひとりひとりが意識を開いていく努力を重ねていくしかないだろう。真実が次々と明るみに出されていく時代になってきたと実感されてならない。気をしっかり持って生きていこう。

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