Tue, June 19, 2018

ケニア人口調査結果にまつわるあれこれ


ソトコト11月号(2010年10月5日発売)

昨年行われたケニアの人口調査の結果がついに出た。ケニアの人口は38,610,097人で、毎年100万人づつ増えているとのこと。ケニア人女性1人あたりに子どもは平均4.6人。非常に高い人口増加率だ。

ケニアで人口調査がはじめて行われたのは113年前。1897年の記録では250万人だったという。1948年には540万人、1962年には860万人だったが、それが現在、4千万人近くになったというのだから、この60年で人口は実に7倍に膨れ上がったということになるから驚きだ。これでは野生動物の数が激減するはずだ。

ケニアの長老たちから昔のケニアの暮らしぶりの話を聞くにつけ、まるで御伽噺のように目の前に悠々たる大自然の風景が目に浮かんできて、遠い時代に想いをはせる。かつて人は大地と共に生きていた。この大地には多くの生き物が暮していて、人間はその一部でしかなかった。ケニアの各民族はそれぞれにたくさんの迷信を持って生きており、そこには自然を守るためのおきてが多々含まれていた。森の木は人間が勝手に切り倒してはいけなかった。自然に倒れた木があれば、そこを通りかかる人々はその木の上に石を置いていき、木の精霊の魂を慰めたという。それが今ではどうだ。ケニアの森は次々とハゲ山になってしまった。これだけ多くの人口を維持するために、木々はどんどん切り倒され、薪になり、炭が焼かれていった。道路ができ、開墾されて大農場ができ、工業地帯もできていった。今では森の精霊は雨を降らせてくれない。日照りが続いたかと思えば、突然豪雨が降って鉄砲水が出て、家も家畜も車も流してしまう。

今回の人口調査結果で大きな話題になったのは、多民族国家ケニアの42民族のうち少数民族に属していたはずのソマリ民族が、なんとケニアで6番目に人口の多い民族になったという数字だ。これによるとケニアンソマリは240万人で、10年前の統計と比較して133万人も増えたことになってしまう。この数字に対してクレームがつき、翌日発表されたことによると、「ソマリの長老が調査を受けることを拒否したために生じた誤差」だという。人口調査は聞き取りによって行われ、その作業を行うために訓練を受けた調査員が村の一軒一軒を回って台帳を記入していく方式だが、調査員は若者が多く、長老たちは若者から調査を受けることは伝統に反するとそれを拒絶し、台帳を長老自身が記入しなくてはならないと言い張り、それによって大きな誤差が出たというのが、政府筋から発表された言い訳だ。長老の多くは文字の読み書きができない。自分が書かねばならないと言い張っても、正確に記入できるはずもない。

御伽噺の時代と21世紀が交錯する現代ケニアが面白い。マサイが多く居住するリフトバレー州では、人口よりも多いヤギと羊がいて、ケニア全体では人口の半分くらいの牛がいるということも、なんだか嬉しいニュースだった。電気があるのは23%の世帯なのに対して、携帯電話所持率は60%。10年後には、ケニアはいったいどんな国になっているのだろう。面白すぎて目が離せない。

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