Tue, June 19, 2018

対立深まる。by 大西 匡哉 


対立深まる。     by 大西 匡哉       2008年01月30日06:39

昨日28日深夜12時、ODMのムガベ議員が銃で殺害された。
キベラのングモ地区に住んでいたその議員の自宅には、朝から沢山の人が集まり悲しみに伏していたが、暴動を恐れてか、
警備にあたっていた兵士がティアガスを発砲し、ムガベ夫人や母親、子供や赤ん坊までもが、立ち込めた白い煙に咽び泣いていた。

議員殺害後、朝を待つことなくキベラ42地区では暴動が発生し、キクユ人が1人殺害された。
その他、ダンドーラ、キスム、ナイバシャ、エルドレットなど、各地で衝突、死者、負傷者を多数出している。

マゴソのすぐそばの線路の上では、朝からキクユ派とルオ派が衝突しているという。
いても立ってもいられず、キベラに向かった。
道はがらがらにすいている。

DOオフィス前にはプレス車両が数台止まっている。露店の野菜売りたちもキベラ内は少ない。
顔見知りのケビンの話しでは、すでに4人が死んでいるという。
さらに奥に進み、線路に繋がる一本道に出ると、様相が一変する。
パンガや棍棒や鉄パイプを手にした男たちが路上にあふれている。(写真1)
これだけの集団が、凶器をもって集まっているのを目の前にして、正直たじろいだ。
ケビンが一緒じゃなかったら正直先に進めなかっただろう。
目があった、パンガを持った男たちに挨拶すると、普段のように笑って返事をする。
なかには女たちの姿もある。手には棍棒を持っている。

足早に先へ進み線路へ出た。線路の上に石を積み上げている。(写真2)
18日に、キベラで線路が2kmにわたって引っぺがされたが、昨日キスムでも同じように線路が引っぺがされた映像が、
ニュースで放送されていた。

ODMの集団の先にはGSUが、さらにその先は、キクユ派の陣地「ラインサバ」がある。
間に入ったGSUがいなかったら大変な被害を出してしまっていたであろうことが、状況からうかがえる。
ODM派は朝からカンバ人狩りをしているという。丁度通りかかった線路上で、「自分はカンバだ、助けてくれ」と名乗り出た若者が、
群集に囲まれ、恐怖に顔を引きつらせ、あっという間にボコボコにされてしまった。
(カンバは副大統領に就任したカロンゾの民族。キバキ派とされている。)
その騒ぎに気づいたGSUはたちが、ティアガスを打ちながらこちらに走り寄ってくる。
あたりが白い煙に包まれる。ライフルを発砲する兵士たち。
ODMたちは、あっという間に細い路地の中へ逃げ込む。
その路地の中へティアガスが投げ込まれる。どこへ行っても白い煙だ。
細い路地から路地へ、口と鼻を押さえながら何とかマゴソへたどり着く。
白い煙は風邪にのって、マゴソの中まで入り込んだらしく、リリアンや子供たちまで、顔をグショグショにしながら涙を流していた。

マゴソの2階から、ODMとGSUとキクユ派の、境界線になっている線路の上がよく見える。
間に入ったGSUがキクユ派の方へ行くと、ODMたちは息を吹き返し、集まって火を燃やすなどの行動に出る。
それをGSUがティアガスを打ちながら追い払い、皆散り散りに路地の中へと逃げこみ、あたりに白い煙が立ち込める。
というのを繰り返している。
GSUは総勢40人から60人ぐらい、ODMは数えられないが、主に前線に出ているのが50~70人位か。
そのうらで待機しているのが数百はいるだろう。
キクユ派はここからは良く見えないが、GSUが見えなくなると、パンガ片手に時々様子をうかがいに線路の上に姿を見せていたのが不気味だった。
マゴソのそばのトイレに、朝からカンバの少年が身を隠しているという。(写真3)
時々外の様子を伺っているのが、ここからも見える。見つからないことを祈る。見つかれば痛い目に遭わされる。
カンバだ、キクユだというだけで、何もしていない人々が痛い目に遭うのを見るのはつらい。

3時ごろマゴソを離れてババペッティが立てこもっているキベラプラザへ。
足の悪いババペッティは逃げることも出来ず、キクユでありながらキベラに残っているが、ODMがキクユを探して家を一軒一軒回ってきたという。
同じキベラプラザに住むルオの若者が、「彼はキクユだがODMだ。」とかばってくれて、助かったといっていた。
彼は近々脱出を計画しているが、食料もなく立てこもっているようで、明日は何か届けようと思う。

その後神戸先生のオフィスへ行き、いろいろ話を聞いた。
丁度テレビでアナン、キバキ、ライラと各議員たちが集まり、声明を読み上げ、その後コーヒーを飲みながら談笑していたが、
ケニア中がこれほど混乱しているというのに、何一つ具体的な解決策も出ない。
この三人が何を発言するかで、どれほどの人の命が懸かっているか。
彼らにどれほどの危機感があるのかも疑問だ。
呑気にコーヒーなんか飲んでる場合か。
アナン氏にもがっかりさせられる。もっと問題の根本に迫る事だって出来るはずだ。そのためにケニアに来たんじゃないのか。

そもそもキバキの選挙不正が発端ではあったが、もはや深刻な民族対立に発展してしまっている。
すでに取り返しのつかないところまで来てしまっているかもしれない。
独立以来の様々な因縁と、国民のことをこれっぽっちも考えない、権力に群がる愚かな政治家たちの犯した過ちにより、
これまで何とか持ちこたえてきた扉が開けられてしまった。
西欧的な民主主義というものが、そもそもアフリカ的な思想から遠く、力で制するものが上に立つという、
歴史上何度も繰り返されてきた方法がとられてしまっている。

帰り道、線路の上でボコボコにされたあのカンバの青年の、恐怖に歪んだ顔が頭を離れない。
彼がいったい何をしたというのか?キベラの中でこんな争いをしたって何の意味もないのに。

1000人以上の人々がこの紛争で命を落とし、数万人が傷つき、30万人以上が避難生活をしているというのに、
張本人のキバキは何も悪いと思っていないようだ。こんなやつが大統領であってたまるか。

唯一の解決策は、議員たち全員で人々の怒りを沈め、武器を捨て、再選挙を平和的に行うことだ。
ケニアのために、何が大事かを建設的に考えれば、それくらいのことをやって当たり前だ。

タグ: , ,

Share This :

Twitter Delicious Facebook Digg Stumbleupon Favorites More

イベント情報をいち早くお知らせできます。


Leave a Reply

*