Thu, October 18, 2018

ケニアに希望の光を!   by 大西 匡哉


ケニアに希望の光を!   by 大西 匡哉       2008年02月01日06:01

ODM議員がまた殺害された。

エルドレットで午前10時過ぎ、車で移動中にバイクで追跡され、ODM議員デビッドキムタイ氏(カレンジン)と
運転していた女性警官が銃で撃たれた。
バイクで追跡し2人を撃ったのは警察官で、まもなく逮捕されたらしい。

ODMの議員が、これで2人殺害されてしまった。

いろいろと不穏な噂が飛び交っている。

「ODMの議席数を減らすための犯行」だとか、「ムンギキが警察の中に紛れ込んでいる」とか、
「政府側の議会での決定権を有利にするために、あと4人ODM議員が殺される」とか。

報道では色恋沙汰とされているが、巷では暗殺と見る人が多いのは確かだ。

キベラに入ると、顔見知りの男達が集まって話しをしている。
挨拶もそこそこに、普段冷静なJが、「俺たちには銃が必要だ、でなきゃこっちがやられてしまう。」と言う。
顔は笑っているが、それ程不安なのだろう。
「それじゃ戦争になってしまう。」と言うと、「もう目の前だよ、時間の問題だ。」
体はでかいが気の優しいDも、「うそはつかない。自分も銃を渡されたらそれを使うだろう。」と深刻な顔で言う。
ODMプロテスタントが銃を使ったという話はまだない。

マゴソでスコラに「元気?」と挨拶すると、「ハッピーニューティアガス!」と返事を返した。
昨日は今までで一番ティアガスの被害を受けてしまったという。
今までのどのティアガスよりも強力で、「日本製じゃないのか?」と言われてしまった。
混乱後、ケニア中でティアガスがばら撒かれ、もうストックが底を尽きたといわれていたが、新たに仕入れられたのだろうか?
ケニア人の血税が使われて?
不気味な動きを見せるウガンダのムセベニの影を指摘する人もいる。

おとといオギラ先生の家が焼かれてしまい、そのソウェト地区では48人もの犠牲者を出したというが、本当だろうか?
そのオギラから今電話があり、今日は寝ないで焼かれた家の見張りに立つという。

頻繁にパンガによる事件が報告されているキベラのラインサバ。ルオの人々に恐れられている、キクユ人地区だが、
対立しているから恐怖も膨らむのでは?普通の人々は平和を望んでいるはずだ、と思い、足を運んでみた。
1人で大丈夫だと言ったのに、オモンディがついてきたので、逆に心配になってしまった。
ラインサバは荒廃していた。と言うか、殺伐とした雰囲気が漂っていた。いつもどおり商売をしてる人も沢山いるが、
空気が全然変わってしまっている。

ングモからバスに乗り、バプティスト教会でピーター牧師(ババペッティ)と会い、話をした。
教会の警備員達やオモンディも加わり、キクユ、ルオ、ルヒヤに日本人が混ざってこの騒ぎについて立ち話が始まった。

ピーターは妻子を非難させ、一人キベラプラザに残っていたが、おとといの議員殺害事件後の暴動のとき、
暴徒が家の玄関を叩き、パンガを頚動脈に突きつけられ、「身分証明書を見せろ!」と言われたそうだ。
そのときたまたま知り合いの若者がその中にいて、「彼はモンバサ出身のODMだ」とかばってくれたので助かった。

頭に包帯を巻いた警備員は、ルオでありながら同じルオに間違われて、パンガで切り付けられ、全治2ヶ月の怪我を負った。
にもかかわらず警備の仕事に出ている。

「どう考えても間違っているのは政府だ。ケニア人全員に聞いてみたい。
キバキPNUをやっつけたいか?それともODMを打ち倒すか?もしくは協力して平和を築きたいか?
この三択で一番多く票をあつめるのは平和に決まってるじゃないか。」
と言うと、

「そうだ、自分はキクユだがルオやルヒヤに囲まれて生きている。自分にはルオの友達もルヒヤの友達も必要だし、
彼らだってそう思っているはずだ。お互いに必要とし、助け合っていくべきなんだ。」
とピーター。

「しかし、もし今再選挙をすることになったとしても、恐ろしくて投票なんか出来ない。
どっちに投票するかで命さえ狙われかねない。」
とオモンディ。

「ガバメントは法を捨ててフォースを使っている。結局強いものが勝って俺たちは泣き寝入りだ。
俺たちは何のために投票したんだ?」
とルヒヤ警備員。

「問題の原因はそもそもイギリスの植民地政策にあった。彼らが民族を分け、対立を煽ったのだ。
でも仕方ないよ。始まったものはいずれ終わるだろう。神様が助けてくれる。」
とピーター。

「しかしお前は日本人だろ、キクユでもルオでもないんだから気楽でいいよな。」
と頭を怪我したルオの警備員に、最後にそう言われてしまった。

反論する気もなかった。彼らの国であり、彼らの問題なのだ。

映画「ルワンダの涙」で白人青年が「自分がついている限り心配ない」とある少女に言うが、
結局撤退する国連軍と共に逃げてしまう。それを見て、自分もおんなじだと思った。

彼らはどこにも逃げられない。このケニアで生まれて、このケニアで育って、このケニアで先祖代々暮らしてきたのだ。
そのケニアでいま、歴史が傷つけられている。自分はただの目撃者に過ぎない。

家に帰ってから「マシモニユース」のミカに電話した。彼はルオだが、キクユ人地区に住んでいる。
ここ数日ずっと連絡がつかないので心配していた。
久しぶりに連絡がついたミカは、
「元気だよ。いろいろ不穏な動きはあるけど。マーサ(ミカの子供)とマママーサは田舎に送り届けたんだ。
電話してくれてありがとう。困ったら遠慮なく連絡させてもらうよ。」

マシモニユースのリーダーのジョンに連絡すると、
「今日夕方マゴソに行こうとしたら、ラインサバで2人パンガで殺されたんだ。夕方6時ごろだよ。
その後警察が来て銃声が聞こえていた。マゴソ大丈夫かな?」

あわててリリアンに連絡すると
「大丈夫よ。ちょっと銃声が聞こえたけど、それ程大きな騒ぎにはなってないわ。」

そういえばオモンディが帰ったのは6時ちょっと前だったなと思い、心配で電話すると
「大丈夫だよ。銃声が聞こえたから、別の道を使ったんだ。」
と無事だった。

「今週末は気をつけるようにと、ペンタゴンハウスで言われました。」
と神戸先生が言っていた。
ODM議員の殺害に対する、なんらかのリベンジがあるということだろうか?

西部で暴れたカレンジンたちが、ナイロビまで攻め込むと言う声明文を、キベラの友人に見せてもらった。
カレンジンの人々はケニア独立時にキクユ人に土地を奪われ、彼らの偉大なリーダーたちが命がけで戦ってきたが、破れ、
痛めつけられてきたのだ。
この声明文で、彼らは名指しで
「泥棒キバキがライラ大統領に許しを請わない限り、カレンジンの兵士たちがナイロビにあふれ、政府高官たちの命を狙うか、
もしくはナイロビから人っ子一人いなくなるかのどちらかだ。」
と書かれている。

ケニアはどうなってしまうのだろうか?どんどん悪化する現実に絶望的な気分になり、頭が痛む。

たとえどんなことになったとしても、それを乗り越え、新しいケニアが生まれることを信じるしかないのだろうか?

何とか希望だけは捨てないようにしたい。

どうかケニアに希望の光を!

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