Tue, August 21, 2018

ケニアの状況     by 早川 千晶 


ケニアの状況     by 早川 千晶        2008年02月14日05:41
皆さん、こんにちは。ジュンバ・ラ・ワトト(モンバサ近郊ミリティーニ村に作った子どもの家)に行っていましたので、
数日書けないでいてすみません。 キベラから新たに5人の子どもたちを連れて行きました。
このことについてもまた追って書きますが、ケニアの近況を心配している方々がたくさんいるのでちょっと最近の様子について先に書きます。
日本でなかなか報道されないので、どうなっているか知りたいというメールをたくさんいただいていました。
どうもなかなかおっつかなくてすみません。
気になっている方は、いつでも電話してくださいね。私の携帯電話は、+254-722-718291です。
メールの返事を待たせている人たちもごめんなさい。

アナンさん仲介による話し合いが進められています。が、想像以上に時間がかかっていて、国民はヤキモキしながら方針の発表を
待っている状態です。「順調に話し合いは進んでいる」とだけ何度も報道されているのですが、とても微妙な雰囲気の中、
ピリピリと緊張しつづけているかんじです。
発言の一言一言にも国全体がビリビリと震える、というかんじで、とてもセンシティブな状態。
これから2、3日の間にも、最終的な決定発表があるというふうに言われていますが、それによってどうなるのか、本当に微妙で落ち着きません。
選挙の不正についての取り扱いはどうなるのか、再選挙はあるのか、パワーシェアリングはどのような形で行われるのか、
具体的なことはまだ何も決定されていません。双方からの提案内容にずれがあるので、果たして円満なすり合わせはできるのか。
正念場というかんじです。
2年後に再選挙をするということで合意するかに見えたけれども、それに対して昨日、政府側からは
「そんなことは話し合われてもいないし、合意などしていない」という抗議があったりして、混乱しています。
その日の新聞に、まるで双方ともそう希望を出しているかのような記述があったため、てっきりそう落ち着くかと思っていたのに、
また振り出しに戻る、みたいな、話し合いはどう進行しているのかなかなか伝わってこない歯切れの悪さ。
そんな緊張状態に国中を置いておきながら、その一方では、会議の合間に談笑しながらお茶している様子などがニュースでうつしだされていて、
気分を害している人がたくさんいます。あんなにたくさんの人が死に、たくさんの人を傷つけ、今でも大量の避難民が苦しんでいるというのに、
談笑しながらお茶している政治家たちの姿は気持ち悪いです。ちょうどそのニュースをやっているときに私とリリアンは外にいたのですが、
まわりのケニア人たちがブーイングして舌打ちしていました。

ケニア国民たちが負った傷はそうとう深く、この影響はこれから先も続いていくものと思われます。
これまで、死者1000名以上、避難民30万人以上といわれていましたが、避難民は、警察や刑務所やチーフオフィスや学校や教会などに
避難して難民生活をしている人々が30万人、それ以外にも、住まいを失い誰かの家などで世話になっている人々も30万人はいるだろうということで、
合計60万人以上の難民が出ていると思われると新しいコメントが出ていました。
その他、家族を失った、家族が行方不明、職を失った、などという人々もあわせると、大変な数です。

全国中に避難民が出ましたが、彼らが命からがら避難してキャンプしている場所から、
「もともとの出身地」へ移動するためのバスが援助団体から支援されて次々と出されて、大量の人々が移動していっていますが、
これは多くの人々にとって真の救いではなく、のちのちの影響が懸念されます。
というのはどういうことかというと、
各地で避難民になっている人々は、それぞれの民族のもともとの出身地から様々な理由で別の場所へ移住していった人々です。
その理由はというと、田舎があまりにも貧しくて生きていけない状況にあるから別の場所に活路を見出して移住した人々もいるし、
植民地時代に土地を奪われてしまったので独立時に別の民族のエリアに土地を与えられて移住した人々もいます。
出身地が人口過密で飽和状態の場合もあるし、度重なる災害にみまわれた地域の出身者もいます。最近移住したわけではなく、
もう何十年も、それこそおじいさんやおばあさんの代、もしくはもっと前に移住した人々だっているわけです。
ところが、そこで今になり殺戮や放火など命の危険にさらされ、避難し、そこからもともとの先祖の出身地に戻されたといっても、
自分の家も土地もなく、仕事もなく、そこの村ももともと飢えるほど貧しい村であったなら、それからあと、その避難民の人々も、村の人々も、
いったいどうやって生きていったらいいというんでしょう。

もっとわかりやすく説明すると、例えば、あなたのおじいさんがもともとは東北出身だったとします。
そこは雪深くあまりにも生活が厳しく、食べるものにも事欠き、生きていくために東京に働きに出て行った。
そこで結婚して子どもも生まれ、親も呼び寄せ、本籍も東京に移し、苦労して土地を買って家を建てた。
その子どもは東京で育ち、さらに結婚して子どもが生まれた。
そうやって何十年もたってからあと、突然、東京で、「今日から東北人は東京に住んではいけないことになった。先祖代々の土地に帰りなさい。」
と言われたとしたら。住んでいる町で突然、「東北人狩り」がはじまり、住宅街の中で東北出身者の家のドアに印がつけられ、
ナタを持った暴徒が押し入り、首根っこにナタを突きつけられ、家に放火されたら。
やっとのことで警察署の敷地内に避難し、キャンプしていたら、そこも出て行ってくださいと言われて東北行きのバスを用意された。
おじいちゃんはもうとっくに死んでいるので、おじいちゃんが生まれた村の名前すら知らないし、行ったこともない。
それでも他に行くところもないし、ナタを突きつけられた場所には怖くて帰れない。
仕方がないので家族全員でそのバスに乗り、「OX県のXX市付近だったらしい」というおぼろげな情報だけをもとに移動。
当然、親戚も誰もいない。XX市まで行ってみたが、バスを降ろされてからどこにも行くあてがなく立ち往生する。
お金も一銭もなく、いったいこれからどうやって生きていったらいいのか。
・・・・と、多くの人々が、このような状況なわけです。

聞いた話によると、そうやって次々と避難民が送られてきている地域では、バスを降りてからあと行くアテもない人々を、村の人々が助けて、
食糧や寝床を与えたりもしているそうです。
それでももともと、気候環境的にもとても厳しい土地で、生きることが困難だった地域が多いですから、そこにそうやってたくさんの避難民が
流れ込んでくると、これから先、どうなってしまうのでしょうか。
さらに、もうすぐ雨季がやってきます。今年は季節がおかしくなっていて、2月なのにもうすでに雨が降り始めているところもあります。
それらの地域は、えてして、雨季には必ずといっていいほど大洪水になり、村も畑も流されてしまうような厳しい土地も多いです。
そうかと思うと、乾期にはひでりが続き、畑もカラカラに乾いて何も取れないというような土地。

ケニアの多くの人々の暮らしは、メチャメチャにされてしまいました。
これは、簡単に立ち直ることのできない、深い深い重度のダメージです。

キベラスラムも、以前の状態に戻ることなどもうできないのではないかと思わされるほどのダメージを受けています。
住民たちは、今も恐怖の中で生きています。
最近も、マゴソスクールのまわりで、恐喝集団が出ています。若者たちのグループが手にナタを持って昼間から家々を回り、
戸口でID(身分証明書)を見せろと迫り、出身部族を確認してからナタを突きつけて脅し、家の中のものを強奪していく、
という光景が白昼堂々、続いています。そういう恐喝集団の中に、小さかったときから知っている近所の子が入っているのを見て、
マゴソの先生たちが非常にショックを受けていました。
必ず通行しなければどこにもいけない通り道に、そういう集団が待ち構えていて、通行人にお金を払わせていたりもする(払わなかったら切りつける)。
あちこちで恐怖ビラもばら撒かれています。

今日はインド人の友達に会ってきましたが、彼が言うには、ダメージを受けているのはスラムや村の人々だけではなく、
様々な生活層でひどく影響が出ていると。
とにかく、経済が大打撃を受けているので、とてもたくさんの人々が職を失っています。
彼の店も、1月、2月と、まったく売れていなくて、従業員にヒマを出さないといけないのがつらい、と言っていました。
従業員にヒマを出すと、その人本人だけへの影響ではなく、彼の稼ぎで生きていた家族や村の人々など多くの人々が苦しみます。

だけど今、ケニアでは、多くの人々が、手を取り合ってこの国の傷を癒していこうと誓い合ってがんばろうとしています。
途方に暮れるような状況だけれども、希望だけは持ち続けること。恐怖に引きずられずに光だけを見つめていくこと。
私もそう自分に言い聞かせています。
正直、もうニュースを見るのもいやになってきてしまいました。
何があっても、神様だけはすべてを公平に見ていると。何度その言葉を聞いたことかしれません。

では、次に、ミリティーニ村やジュンバの子どもたちの近況などを書きます。それと、なんとか安心できる場所に送り出した子どもたちの話も。
わずかですが、2名を寮制の職業訓練校へ、6名をセカンダリースクールへ、5名を村のおうちへ、送り出しました。
今月末にはまた6名を村のおうちへ送り出します。
次に続く。

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